第6講 アナクサゴラス2

宇宙の始まり

宇宙は初め、たくさんの種類の無数の種子が1つになっている状態だった。そして、それは目に見えないくらいに小さかった。ここに、ある原理による作用が行われ、最初は小さな渦巻き、ができるんです。それがだんだん大きくなって、いくつかに分かれます。そうして、私たちや私たちが見ているいろんなものができあがるのです。この変化を起こす原理が【ヌース(ヌゥス:精神;知性;理性;心)】なのです。〔ヌース〕は、すべてお見通しで、未来のことも、すっきりわかっているのです。これ、日本語では、いろんな言い方をされるので、カタカナで言っておきます。プラトンやアリストテレスも〔ヌース〕という言葉を使います。でも、使い方・意味が違います。

一番多く含まれているスペルマータの特徴がでる

そうして分かれた一つ一つの物体には、やっぱりすべての種子が含まれているんです。そして、その物質を特徴づける種子をたくさん持っているから、その物質の特徴があらわれるのです。骨は骨の種子が、他の種子よりもたくさん配合されているから、骨に見えるのです。肉も骨の種子はほんのわずかに含んでいますが、肉の種子がたくさんあるから、肉の特徴を出しているのです。

初めからあったものが、減りもせず増えもせず、さまざまな物質ができますね。立派にエレア派の要求を満たしています。Aである物質がBに変わるのではなくて、配合されている種子の割合や量が変わるだけなのです。種子は初めからあるし、それら自体は増えも減りもしません。それらがまとまって、1つの物質に見えるものを構成しているだけなんですね。


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