第4講 エレア派2

ゼノン

人々は、パルメニデスの言う「ものは1つ」「運動はしない」ということが、どうも理解できなかった。私も理解できませんが。

この人の弟子に、ゼノン(B.C.490-B.C.430)という人がいます。もうちょっと後に、ストア派のゼノンという人が出てきますが、ここはエレア派のゼノンの話です。間違えないようにしてください。本当は、「エレア学派」ということが多いんだけど、私の講義では「派」をよく使います。特にこだわりがあるわけではなく、言いやすいから。前にも言ったよね。

背理法

このゼノンが、師匠のパルメニデスの悪口をいう人々をやり込めます。【弁証法】、【背理法】と呼ばれる方法を使ってやりました。この方法を完成させたのもゼノンです。高校数学で、背理法、出てきたでしょう。さっぱり、わからなかった?。そうですか。とにかく、アリストテレスは、ゼノンをディアレクティケ(弁証法)の祖と言っています。弁証法というと思い浮かぶのは、ヘーゲルですね。18世紀・19世紀に活躍したドイツ観念論者の雄。ここでいう弁証法は、対話術のような意味。ヘーゲルのとはちょっと違う。

はあ、悪いね。ヘーゲルまではやれないよ。とても。あっ、そうそう。テーゼとアンチテーゼで……。岩波文庫に『哲学入門』があるから、そこから読んでみるといいよ。エレア派に戻るよ。

パルメニデスは、「感覚は信用できない。論理に従って説明できることしか認めない」というんですが、彼の思想自体は「女神のお告げだからね」と詩に書いてるわけだ。でもゼノンは、徹頭徹尾、論理的に行く。「おい、おい、詭弁だろ」と思うのだが、それに反論できない。ゼノンは「諸刃(もろは)の舌をもつ男」と呼ばれていたのです。

ちょっと紹介しよう。アリストテレスの『自然学』に記されているのだが、師の説に反対して「運動はあるよ」という人に、こうやって説明した。ブラピが演じたアキレス(アキレウス)。彼は、足がとてつもなく速いリんだ。そのアキレスが、のろまな亀に絶対追いつかないよ、と証明したんだ。だから運動なんて存在しない、と。ここで言う運動は、健康のためにやる運動とか、スポーツの運動ではなくて、「動きがある」ということです。


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