「アキレスと亀のパラドクス」と呼ばれているものだ。
1.運動は存在するとします。そうならば、アキレスは亀を抜きます。
2.アキレスは、亀より後方から出発します。アキレスが亀の出発地点に着いたとき、亀は少し前方のA地点に進んでいます。次にアキレスがA地点に着いたとき、亀はすでにB地点に行っています。アキレスがB地点に行ったときには、亀はC地点……。
3.あらら、アキレスは亀に追いつけませんね。だったら、1番はおかしいということになります。運動なんて存在しません。
とんでもない理屈でしょ。でも、誰も反論できなかったんです。この他、「飛ぶ矢ルのパラドクス」と「競技場のパラドクス」なんかも使って、「運動はない」ことを証明するわけです。
多分、この証明は間違っているのですが、背理法を考え出したこと自体は、大変すばらしい業績なのです。どう間違っているかは、自分で考えてみてください。いいえ、教えません。
ところで、アキレスの弱点は、アキレス腱です。そう、そう、そこ。だからアキレス腱て言うんだね。どうしてそこが弱点になったか知ってるかい。アキレスが赤ちゃんのときに、お母さんが不死身の体になるという川に、彼を連れて行くんだ。そして、そこの川にアキレスを浸けるんだが、ちょうどアキレス腱のところを、母親が持っていたので、その部分だけ水に浸からないんだ。だからそこが不死身にならなかったんだねィ。