第3講 ヘラクレイトス2

対立と調和

流転の説明について、彼は「戦い」という概念を持ち込みます。「昼と夜、夏と冬、戦争と平和。これらが争い、右に振れたり左に振れたりしながら変化し、調和を保つ」。「戦いは万物の父である」とも言い切ります。「対立と調和」。この法則が、ヘラクレイトスの言うところのロゴスなのです。ロゴスは「神」「理法」「理(ことわり)」「真実」と訳す人もいます。また、同じ人でも、使われている箇所により訳を使い分けています。ロゴスを使い始めた最初の人が、ヘラクレイトスだ、という説があるので、彼が使うロゴスは、ある程度の幅を持って解釈するべきですね。

飢餓があるから、飽食はありがたい。疲労しているときは、休息が心地よい。病気があるから、健康であることに感謝する。というわかりやすいことも言っています。

ああ、もう一つ、ヘラクレイトスでは、言っておかなければいけないことがあります。ギターの弦が上下に揺れて音が出ます。この状況を「上り坂も下り坂も同じ一つのものだ」と言いました。他の現象もそうです。先ほど話した「病気と健康」も「上り坂と下り坂」なのです。対立が調和をもたらすという説明に使われています。いやぁ、深いですね。興味があれば、考えてみてください。

彼は、人間にも「ロゴスに従い、自然に暮らせ。不自然なことはするな」と警告しています。魂を理性ととらえていて、それが湿るとダメなんだ。乾いた状態にしておかないと。だから「火」なんだね。酒を飲んだりすると理性がなくなるわな。酒を飲むと魂は湿るんだそうだ。私は酒を飲むことも自然なんだけど。まあ、これは冗談ですが、「目に見える調和より、目に見えない優れた調和がある」と言っている。結局よくわからん。というのが、今んところの結論です。

しかし、アルケーも「火」だと言っているし、世界を動かす原理も「戦い」だ考えています。ミレトス派の考え方とピュタゴラス派の考え方を、2つとも受け継いでいますね。こんなところがまとめになりますが、ちょっと違う話をします。


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