ギリシア哲学への招待状 愛知哲仁 An Invitation to Greek Philosophy

第13講義 プラトンの生涯

雑談

どうですか?。夏休みは一生懸命遊んで、一生懸命勉強しましたか?
あらあら、君はすごく焼けてますね。海にでも行きましたか。
ああ、サーフィンですか。
ええー!、何だって? ハワイまで行ったやつがいるって?
あっそうか。それは人の話ね。君は国内。何回もいったわけね。
そうかそうか、泊り込みのバイトね。
それは、いい経験をしたね。

君も焼けてるねー。……。

私は、いろいろあって、思うように本が読めませんでした。もうちょっと読んでおきたかったのですが……。

プラトンの生涯

さて、本日からは、プラトン(Platôn)です。

アテナイの名門に生まれる

プラトンは、アテネ(アテナイ)の名門に生まれました。父方は王政時代の最後の王様の子孫。母方はギリシア七賢人の1人ソロンの親族(執政官)の子孫。名門中の名門。長男ではなかったけれど、教育もしっかりと受けていたと考えられます。 本名はアリストクレスですが、大きかったので「大」「広い」という意味のプラトンと呼ばれるようになりました。

ソクラテスと出会う

才能もありました。傑作の詩ができて、それを持参して競演会に向かう途中で、偶然ソクラテスの演説を聞きます。ビビンと電流がプラトンの体を駆け抜けたんでしょうね。詩なんかを作っている自分が恥しくなって、その詩を火の中に投げて、燃やしてしまいます。

20歳前後に、ソクラテスに弟子入りします。ソクラテスは62歳くらいです。まあ、ソクラテスは、弟子なんて取っていない(『弁明』でそう言っています)といいますが、プラトンは弟子入りしたと思っていたでしょう。

プラトンは、ソクラテスから多大の影響を受けます。また言うかも知れませんが、ソクラテスがいなかったら、我々が知っているプラトンはなかったのです。逆にプラトンがソクラテスのことを書かなかったら、我々はソクラテスについて、ほとんど知ることができなかったのです。

ソクラテスを死刑にする政治に絶望

えー、プラトン28歳のとき、ソクラテスが死刑になってしまいます。これは夏休み前にやりましたね。プラトンは『第七書簡』という手紙に、こんな内容のことを書いています。

若いうちは政治家を志していたが、ソクラテスが死刑になるような政治には失望した。政治に参加する気力を失った

第1次シチリア旅行

ギリシア地図、プラトン関係 プラトンは、ソクラテスが有罪になったこともあり、アテネから一時身を隠します。やはり、ソクラテスの弟子の一人エウクレイデスの家が、メガラにあったので、そこに身を寄せます。他の弟子も何人か厄介になったと思われます。その後、ギリシアの各地や南イタリアを歴訪します。南イタリアのタラス(タラントゥム;タランツム)では、ピュタゴラス教団の指導者アルキュタスを訪ねます。ここでは、しっかりとピュタゴラス派の考えについて学びます。のちに彼が考え出す〔イデア論〕の理論的裏づけとなっているのが、この教団の教義に近いものです。さらに、シチリア(シケリア;シシリー)島のシラクサ(シュラクサイ;シラクーサ)に渡ります。

この地にはディオニュシオス1世という僭主(せんしゅ)が、いました。僭主とは、クーデターによって王様になった人です。ギリシアでは、ティラノスといいます。ティラノサウルスと言葉の関係があります。

ディオニュシオス1世の娘婿に20歳くらいのジオン(ヂオン)がいました。プラトンは、このジオンと恋仲になります。美青年は、知識豊かな中年のおじさんにあこがれ、中年のおじさんは美青年・美少年の若さを愛し、正しい道に導きます。まあ、これは置いておいて……。

プラトンは、このディオニュシオス王を導いて理想国家(といっても都市国家ですが)をつくろうと試みます。残念ながら、ディオニュシオス1世は、プラトンの思い通りにはならず、アテネに帰国します。

そんなことって……

文献では、スパルタの使節が当時、シラクサに来ていたそうです。そして、僭主は邪魔になったプラトンを、この使節に預けます。使節は、スパルタに帰る途中アイギナ島で、プラトンを奴隷として売り払ってしまいます。運よく、キュレネのアンニケリスが彼を見つけて、お金を出してプラトンを救ってくれます。そして、アテネまで送り届けてくれます。

アカデメイア創設

アテネ地図、BC400頃 これが40歳のときです。そして、アテネ北西郊外のアカデメイアに学園を創ります。この学園の名前も、アカデメイアと呼ばれます。英語になったものがアカデミーですね。

全寮制の学校のようなもので、みんなが共同生活をして研究・教育に励みます。主に数学と哲学を一生懸命にやります。そして、理想の政治家を育て上げようとします。

再びシラクサへ

60歳くらいのときに、シラクサのディオニュシオス1世が亡くなります。その息子のディオニュシオス2世が後を継いで王となります。ジオンから2世の教育のため、シチリア島に来てくれという連絡を受けます。今度こそ、研究を重ねた理想の国家がつくれると思ったでしょう。

しかし、ジオンが追放処分に遭い、プラトンの哲人王教育がうまく行かなくなってしまった。

アリストテレス、アカデメイアに入学

残念ながら、またも夢破れて、アテネに帰国します。プラトンの留守中に、17歳の若きアリストテレスが、アカデメイアに入学していました。ラファエロの『アテネの学堂』という絵画のど真ん中は、老プラトンと若きアリストテレスが、話をしながらこちらに歩いてくる構図です。プラトンは天を指差し、イデア界について語っているのでしょうか。対して、アリストテレスは地面をおおいかぶせるように、地面に向かって手を広げています。地上の物事を調べることが大切だと言っているのでしょうか。2人よりやや左には、ソクラテスが対話を行っているところが描かれています。絵をひとつ描くにも、深い知識が必要なんですね。

アカデメイアは、592年に廃止されるまで、900年以上も続きました。この史上最長の学園のおかげで、プラトンの大量の著作物が読めるのです。ありがたいことです。

三度、シラクサへ

プラトンに著述と教育の日々が戻ってきました。数年間、アカデメイアの学究生活が続いたころ、またまた、ディオニュシオス2世からお招きがかかります。「もう、こりごりだ」と思っていたでしょう。この招きを断ります。しかし、2世はあきらめません。いろんな方面から手を伸ばしてきます。ピュタゴラス教団のアルキュタスからも手紙が来ます。仲直りをしたのか、なんと、ジオンからも要請がありました。。

プラトンは、断りきれずにシラクサに向かいます。しかし、約束とは大違い。だまされたと感じたプラトンは、アルキュタスに実情を説明し、帰れるように取りはからってもらいます。結局、プラトンはその手腕を、実際の政治にうまく利用できずに終わってしまいます。


インデックス・ペイジ

初期ギリシア哲学
 第1講 ミレトス派
 第2講 ピュタゴラス派
 第3講 ヘラクレイトス
 第4講 エレア派
 第5講 エンペドクレス
 第6講 アナクサゴラス
 第7講 原子論

ソクラテス

 第8講 ソフィスト

 第9講 ソクラテスの生涯

 第10講 ソクラテスの弁明

 第11講 クリトン

 第12講 ソクラテスとは

プラトン

  第13講 プラトンの生涯

  第14講 プラトンの著作

  第15講 想起説

  第16講 イデア論

  第17講 哲人政治論

アリストテレス

  第18講義 アリストテレスの生涯

  第19講義 著作と論理学

  第20講 形而上学




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詩を焼き捨てた話
 ソクラテスの話を聞いて詩を焼き捨てた話は、後世の作り話である可能性が高い。別に劇的に出会わなくとも、彼の兄弟やいとこたちが、ソクラテスと交わっていたはずだから、プラトンも自然にソクラテスと接するようになっていった、と考えられる。ただし、彼の対話篇を見れば、詩の才能にも恵まれていたことが分かる。




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参考文献
『プラトンの哲学』
藤沢令夫著 岩波新書
1998/01 \777
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参考文献
『プラトン』山本光雄著
勁草書房 1994/09
\2,625
Amazon.co.jp   楽天ブックス






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参考文献
『プラトン』斎藤忍随著
講談社学術文庫 1997/03
\1,155
 プラトンの生涯に迫り、理想主義哲学の骨格とも言うべきイデア論の本質に迫る。 Amazon.co.jp   楽天ブックス






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著作の人生

プラトンは、80歳のとき亡くなります。書きながら死んだといわれています。彼は、人間の男として生まれ、しかもギリシア人として生まれたことを、神に感謝しています。そして、ソクラテスが生きている時代に、アテネに生まれたことにも感謝しています。

彼の残した思想については、次回以降見ていくことにしますが、後の西洋、いや、全世界に、多大な影響を残しました。現在も、彼を無視して哲学を語ることはできないのではないでしょうか。

リポート忘れずに

遊び疲れかな。みんなお疲れ気味のようだな。
レポートは、今日が締め切りです。午後6時までにします。
はい、今日はここまで。
(リポートはこちらの掲示板メールで。)

参考文献
『プラトンの呪縛』  ¥1,155
佐々木毅著 講談社学術文庫
 20世紀の政治に巻き込まれたプラトン哲学。
 真のプラトン哲学が、現代社会に突きつけている論題とは。
Amazon.co.jp   楽天ブックス
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