ギリシア哲学への招待状 愛知哲仁 An Invitation to Greek Philosophy

ソクラテス死刑延期の理由

学生の質問に答えて

質問を受ける

あー、いやー、そのことだが、実は判決が下って、その刑がいつ実行されるかは知らないんだ。でも、ソクラテスのように1ヶ月も執行が延期になることは珍しかったようだ。

説明しようか迷う

んー、これはねー。そうだなー。『パイドン』という本に書かれている(58a, b, c)んだけど……。あー、どうしようかなー。わかったよ。まず、神話から話さないといけないかな。

ギリシア神話

クレタ王ミノス

クレタ島ってあるだろ。ここの王ミノス(Minôs)がアテネを攻めて。このミノスは、ゼウス(Zeus)とエウロペ(Eurôpê)の子。エウロペはヨーロッパ(Europe)の……。いかんな。肝心のところと、どんどん離れてく。

迷宮のミノタウロス

ミノス王は、アテネに勝って、講和の条件として、九年ごとに七人の若者と七人の乙女をクレタに送ることを承諾させたんだ。この若者たちは、クノッソスにある迷宮に住む怪物ミノタウロス(Minôtauros))の餌食になったんだ。

半人半牛

そうそう、ミノタウロスは、半分人間で半分は牛なんだ。いや、それはケンタウロスだ。ああ、そうか。ミノスのケンタウロスだからか。まあ、それはどうでもいいんだけど、ミノス王妃と牡牛の間に生まれた子なんだ。それをミノス王が迷宮(ラビュリントス)に閉じ込めたんだ。

アリアドネの糸

いけにえの第三回派遣団に、テセウス(Thêseus)という王子が加わって、ミノタウロスを退治しちゃうんだ。このとき、ミノス王の娘のアリアドネ(Ariadnê)がくれた糸をたどって迷宮の外に出られたんだ。

使節慣例化

デロス島に感謝の使節派遣

ギリシア地図、クレタ島・デロス島 2人は駆け落ちして……。まあ、関係ないか。とにかく、以後はいけにえは必要なくなったんだ。アテネ人たちは、アポロン神に感謝して、デロス島のアポロン神殿に使節を派遣するようになったんだ。お祭りの儀式にあわせて。そう、デルフォイにもあるけど、船で行ける所じゃないと意味がないわけ、だって、テセウスがクレタ島に出かけたのが、船を使ってだし……。あんまりわからんな。

使節派遣中の処刑禁止

まあ、とにかく、毎年行くことになっていたんだけど、派遣の船の飾り付けが行われてから、行って帰って来るまでは、処刑はしてはいけない決まりになっていたんだ。うん、月桂樹の飾り付けをするらしい。ギリシアだからね。ペイライオスの港ってのがあるんだけど、そこに船が着いた時点で、その聖なる期間は終了するんだ。

前日から派遣期間

ソクラテス裁判の前日に、この船の飾り付けが行われたんだ。そして、この年は、風の具合か何か知らないけど、帰ってくるのがずいぶん遅れたんだよ。

とりあえず、OK

だから、死刑執行が延び延びになったんだ。そうか、わかってくれたか。


インデックス・ペイジ

初期ギリシア哲学

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 第2講 ピュタゴラス派

 第3講 ヘラクレイトス

 第4講 エレア派

 第5講 エンペドクレス

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 第7講 原子論

ソクラテス

 第8講 ソフィスト

 第9講 ソクラテスの生涯

 第10講 ソクラテスの弁明

 第11講 クリトン

 質問:死刑延期の理由

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 第13講 プラトンの生涯

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  第18講 アリストテレスの生涯

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参考文献
『ギリシア神話を知っていますか』
阿刀田高著 新潮社
 ギリシア哲学をより深く理解するために。
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通常の死刑執行について
 愛知講師は知らなかったのだが、角川文庫の山本光雄訳『ソクラテスの弁明』中の『クリトン』についての解説P208には、「普通なら死刑宣告の翌日に処刑されることになっていた」とある。
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