第4講 エレア派

パルメニデス

南イタリアにエレアという地名があります。この地でパルメニデス(B.C.5c生没年不詳)が活躍します。彼は詩で哲学を語るのです。

あるものはある。あらぬものはあらぬ。

「有るものは有る。無いものは無い」。だから、無いものについては考えるな。無いものが有るとか、有るものが無いとか言うな。また、「何もないところからあるものができる」とか、「あるものが突然消えてなくなる」ということも言うなン。「有るもの」は生成消滅もせずに、唯一で分けることもできない。変わらないし、動かない。完全で充実している。そう言うのです。

「いや、いや、変化してるじゃない」という者に対しては、「違うよ。君は真実を見ていない。君はドクサ(思い込み;思い違い)によって判断していて、目が曇っているのだ。ちゃんとロゴスに従って真実を見つめろ」とアドヴァイスするのです。パルメニデスの言うロゴスは、ヘラクレイトスのいうロゴスに比べて「論理」「理屈」色が濃くなります。というより「論理」そのものです。人間の「感覚」というものを、ぜんぜん信頼していないのです。

運動を否定

「有るものは有る。無いものは無い」というのは納得できそうですが、彼の場合、こんなことも含まれるのです。「葉っぱが緑で《ある》状態から、緑で《ない》状態になることがあってはいけない」。こういう風にも、「ある」「ない」を使うのです。「変化を否定している」と考えられるのです。変化は、「運動」も含まれます。無を否定し、運動も否定、真に存在するのは唯一のもの(ト・ヘン)。これが彼の主張です。


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